13.部下がイキイキと仕事をしていますか?

部下は上司の顔を見て、仕事に取り掛かっています

 

 

 

  職場において部下は仕事が始まるまでに、真っ先に上司の顔色を窺(うかが)っているのをご存じでしょうか?上司の顔色を窺って上司の考えていることをすぐに感じ取っています。人間は他の動物と違い、鋭い牙や爪、強い腕力や脚力を持ち合わせていない分、悪いことや危ないことを察知する能力が発達したと言われています。部下は今日の仕事に着手する前に、上司の顔色をまず様子を見て仕事の段取りや心の準備を始めます。前日の就業前や始業前に突然不良や故障が発生した場合、その報告や相談を始業前にどう報告しようかと一生懸命に考えています。

 

 ところが上司であるあなたが、出勤前に夫婦ケンカなどで不機嫌な顔をしていたらどうでしょうか。部下はすぐに察知して、嫌な気分になって報告しようか迷うものと思います。不良や故障の嫌な報告ほどし難いものですが、部下が言い出しやすい雰囲気を上司のあなたは作っていますか。あなたが新入社員の頃を思い出してみてください。同じような感じだったことと思います。

 

 部下が報告しようかと迷っている時に、マーフィーの法則はタイミング良く適用されます。報告しようと思ったら思いがけず他人から情報が伝わってしまい、上司は「なんですぐに報告しなかったのか?!」と急に鬼のような顔になって怒鳴り散らします。これではお互いに気分が良くありません。仕事も当然やる気がなくなり、生産性は落ち、疲れは溜まり、悪魔のサイクルが回り始めます。そのような雰囲気を作っていたのは上司自身だと、当の本人はなかなか理解できないのです。

 

 上司はその職場の雰囲気を醸し出す源であり、まさに職場の鑑そのものです。部下からの嫌な報告や相談も、いつでも受け入れる体勢と心構えをしておくべきです。そのためにも上司はいつも笑顔でいたいものです。それができないならせめて上司から察知して、毎日率先して部下に声を掛けて、嫌なことや悪いことをすぐにオープンに話ができるようにしたいものです。それだけでと雰囲気が変わるものです。

 

 

 

部下の才能・能力・情熱を発揮させる環境を作る

 

 

 始業前のラジオ体操や清掃時間にも、部下の顔色や態度は十分読み取れるはずです。その時に調子の良くないそぶりをしている部下には、そっと声を掛けて何かあったかを、部下から話し出せるように仕向けていきます。察知能力を発揮したいものです。

 

 

 

 あの松下幸之助氏は、どんなに忙しくても相談する人が来れば、相手の正面に向かって話をすべて聞き、なおかつ知っていた話であっても、「君の話は面白いなあ」「勉強になったわ」などと聴き取る姿勢でいたそうです。なかなかできないことですが、それを知ってから著者も態度を改め取り組みました。やがて悪い情報もどんどん来るようになって、すぐに手が打てるようになり、被害を少なくすることができるようになりました。この話で自分の態度が変われば相手も変わることを気づかせてもらいました。

 

 仕事は自分一人ではできるものではありません。そのために組織があり、仲間と一緒に仕事に取り組む必要があるのです。そのためには雰囲気作りが大切です。その仕掛け人こそが職場の上司自身です。限られたリソース(インプット)から最大の成果(アウトプット)を導き出すのが、上司に必要とされるマネジメント力です。7つのムダというものがありますが、その他に気づかない重要なムダがあり、それは従業員の持っている才能・能力・情熱を活かさないムダです。その鍵を握っているのが、上司自身です。

 

 上司は単に仕事ができるからと言って上司になった訳ではありません。その組織のリソースを効率よくマネジメントし、部下育成することが本来の職務だと考えます。色々な部下の持っている才能・能力・情熱を最大限に活かすことが、部下が気づかなかった潜在能力をさらに活かすことになります。そして組織の力を大いに発揮させることができるのです。自分自身で目に見えるとか気づいているという顕在能力はごくわずかです。逆に見えないとか気づかないといった潜在能力は非常に多くあります。これは多くの心理学者や脳科学者によって明らかになっていますので疑う余地はありません。あとは部下や組織の持っている潜在能力を、いかに最大限に活かすことに上司は注力すべきです。

   

 

 

楽しいそしてチームワークの良い職場作り

 

 

 この潜在能力を引き出すために著者がやっている方法は2つあります。1つ目は楽しくやる、そして2つ目はチームワークで取り組むです。あれっ?とお思いでしょうが、本質とは実に簡単なことだったのです。著者がこれに気づき、納得し確信を持つまでに30年以上も掛かりました。それを実施するには意識をプラス志向にすることです。その方法としてワイガヤ方式とかブレストなどもありますが、要は部下たちを楽しくワクワクさせることです。それが職場をイキイキとさせてくれます。

 

 その雰囲気になっていくと、自然に潜在能力の花が開き出します。こういった雰囲気作りは、上司の重要な環境整備になります。どの職場においても、この雰囲気作りで大きな成果を得ることができます。見えないコトが、実は非常に大切だったのです。改善も実はちょっとしたヒントで次々とできるようになります。

 

 そのきっかけ作りは些細なことなのですが、些細だからこそ気づかないのです。これらは考えてみると、お金をかけないでもできる簡単なことだったのです。簡単なことゆえに気づかなく、分からないものなのです。でもこれが納得できると不思議に改善がドンドンとできるようになります。何かキツネに騙されたように感じるかもしれませんが、心配いりません。多くの実例がありますので、どの職場でもできるようになります。

 

 つまり上司の意志の問題なのです。自分よりも優れた部下を何人育成できたかが、上司の評価であることに気づけば、何をしたらよいのかが分かってきます。部下を踏み台にして昇進してきた人を何人も見てきました。その後の彼らの多くはみじめになっていますが、天はちゃんと見ているのです。現場改善ができるようにするには、部下が改善のできる雰囲気を上司自らが作りだすことです。心のスイッチをプラスにONにする意志を持ち、それを行動に移すことです。職場の雰囲気でガラッと変わります。