ヒューマンエラー防止策 2020年 9月号のキーワードです。

第9回 すぐできる!表示機能を使った具体策

即効性のある「5S+表示標識」を推奨します

 

 その最たる表示標識の事例と考えるのが、写真1のゴミ箱の位置表示です。これを最初に見た時は、ガーンと脳に衝撃を受けました。ゴミ箱の「▼」マークと床の「▲」マークを合わせるというとても単純なものです。しかし、人の心理を上手く利用したアイデアで、少しでもずれると合わしたくなる心理になります。某指導先の改善提案でしたが、何と賞金は100円だったと言います。1万円の賞金が出ても良いくらいの提案です。

 

整頓は“やりやすさ”と“わかりやすさ”が大切です

 

 整理した後、キレイに清掃して壊れた箇所がないかを確認して必要により修理や補強もしてから、取り出したモノを仕舞い込む整頓を行います。整頓は、まずモノを整列させて、頻度や探しやすさなどを考慮して設置します。よく使うモノは、左から順番に並べる、1、2、3とはA、B、Cなどのある法則に基づいた順番に並べます。表示標識は、3m離れたところでも認識できることです。

 

ヒューマンエラー防止には人間の心理の取り込みましょう

 

 4月号の解説に、観察の仕方の要点を7つ紹介しました。7番目に「組織的な問題」があります。具体的には、マニュアルがない、ルールがない、標準がない、手順がない、あっても古いままで今の作業ややり方と実際の作業ややり方と全く違うなどの問題です。実はこれも最もお金をかけないで、しかも即効性のある対策になっています。極端に言えば、A4の用紙1枚でできます。書いたものを職場で説明して、貼り直すだけです。改めて意味を知る、やらなかったらどうなる、被害はいくらになるというだけでも、再認識してミスのブレーキを事前に踏むようになります。

 

写真1. ゴミ箱と床に「▲」「▼」マークを取り付けし、それに合わせるようにします

写真2.棚の事例。上からA、B、C、左から順に1、2、3、戻しやすいように、棚にタイトルの写真のコピーを取り付けています