完全版「虫の眼・魚の眼・鳥の眼」(第32回)

数字の配列を見てみましょう

各国の警察と救急の電話番号はまちまちです

 スイスに出張で訪れていた時に、救急車が来たのでレンタカー(通訳が運転)を避けて救急車の車体を見ると電話番号が144となっていました。ドイツでは、救急車は112で警察が110であり、国によって違うのだと思い出し、世界の電話番号を調べてみることにしました。日本のように警察が110で救急は119というのは、台湾、韓国の3か国だけでした。中国の警察は110で、救急は120です。

 英国は警察も救急の999であり、米国やカナダは両者ともに911であるのは映画で何度も実は見ていたのですが、今回の調査で気づいたほど今まで気にしていなかったのです。ほとんどの国が3桁の番号ですが、フランスは警察が17で、救急が15の2桁です。フランスにも10年くらい通っていましたが、お世話になったこともなくまったく気にしませんでした。所違えば品変わるということわざ通りです。

 小学校の頃の卓上でできる遊びに、正方形の薄い箱に16等分した15枚の数字があるコマを並べるゲームがありました。その名前は「スライダー」というもので、15パズルとも呼ばれていますが電源はもちろん不要です。久しぶりに並べ替えをしてみますと、800回も移動させてもあと1枚(2つのコマ)がどうにも順番に並ばず、とうとうギブアップとなりました。今ではパソコンで何回コマを移動させたがカウントされる便利な機能がついています。子供の頃はどんな並べでも10分もあれば整えていたかと記憶しますが、多分夢中になっていたので時の経つのを忘れていたと思います。

 この遊びは、ルービックキューブの色合わせのベーシック版です。2次元の数字合わせが、3次元に複雑化した立方体ですが、残念ながら途中諦めてしまい1度もすべて合わせたことがありません。マニアであると数十秒で綺麗に整えることができますが、訓練もあるでしょうが一種の想像力が発達していると思います。

 

電話と電卓の数値配列はなぜ違うのでしょうか?

 数値をよく使うようになったのは、小学生の時の算盤塾が始まりでした。学生時代には、技術計算は計算尺を多用したものです。しかし関数電卓が発売されてからは、もっぱら電卓を使うようになりました。当時の関数電卓は、1万円もした高級な事務機のような存在でした。

 電卓とプッシュフォンの電話は、ほぼ同時期にできた機器です。電卓の方は、1964年にCANON社が卓上計算機としてこのテンキーの配列を設定し、その後スタンダードになりました。プッシュ電話は、アメリカのAT&T社から1964年にサービス開始になり、その後この数値配列がスタンダードになりました。

 電卓と電話の数値の配列を見てみますと、電卓は0が一番下にあり、その上に、左から1、2、3と続きその上に、4、5、6。さらにその上には同様に7、8、9となっています。さてなぜこの配列でしょうか?これも問題にして、皆さんに問いかけてみても正解が出てきません。ヒントを出さないとわからないほど難しいようです。

そのヒントとは、計算でよく使う、あるいは一番入力する数字は?二番目には何ですかと質問すると、0、1、2となります。計算に使う人の立場で考えられた数字の配列だったのです。毎日入力作業をしている人の指先を見ていますと、まったくキーを見ていないで入力されています。手が電卓と一体化しているようです。

 さて携帯電話の数値の配列はどうなっているでしょうか?思い出せますか?そうです、0が一番下にあり、その上が左から、7、8、9。その上には4、5、6。上段が1、2、3となっています。電卓と違いますが、なぜでしょうか?この質問も難しいものです。

 この問題のヒントは、昔のダイヤル式の電話にあります。つまりパルス発信方式で電話を掛けていたのです。①を回せば1個のパルス、②を回せば2個のパルスが発信します。さて、0のダイヤルでは何個のパルスが発信に必要ですか?と訊ねると、ようやく0ではなく10個と分かります。ですから電話の0の意味は、実は10だったのです。

 ならば携帯電話の数値の配列は、上から順番に1、2、、、となっているのでしょうか?これもまた答えにくい難しい問題です。電卓の場合の数値は、使う順番に並べるのが、作業上ムダが少ない配列になっています。でも電話はどうでしょうか?まったくのランダムです。先の警察の電話が、111だと子どもが間違って掛けてしまいます。ですからわざと110にしたと考えられます。

 筆者は、一番良くかける自分の奥さんの携帯番号を知りません。でも名前で入力してあり、都度番号を入力する必要はないから覚えていなくても平気です。プッシュフォンだと相手の電話番号を入力する時は、やはり番号がランダムでも数値の配列は上から順番になっていた方が番号を自然に探せると思います。

 

円周率の中には不思議な秘密があります

 数値の配列でランダムになっている有名なものに、円周率πがあります。これは円周の直径に対する比率で定義される数学定数と言われます。計算上は、簡易的にπ=3.14で計算をしていました。最近ではもっと簡易的にするために、π=3としていますが、円周率に対してあまりにも失礼な感じを覚えます。

 この円周率はエジプト時代から3で計算をしていたようで、それが3.1で使うまでには長い年月を要し、さらに3.14にも随分と掛かったようです。今ではスパコンで計算して、小数点以下なんと13.3兆桁までわかっているそうです。

 面白いことに、この円周率の桁の中には、19531120という筆者の誕生日の数値の配列も必ず入っているそうです。どんな組み合わせでもどこかにあるそうですが、13兆の数値の配列には確率から言っても不思議はないものです。河川の長さ=水源から河口間の直線距離に対する比率は、平均すると円周率に近い値になるそうです。何か不思議な感じがしませんか?

図1 電話と電卓の数値の配列の違いは使いやすさの違いです

図2 円周率には色々な配列が組み込まれていました